二酸化炭素回収・貯留(CCS)

排出された二酸化炭素(CO2)を,大気中へ出さずに地中や海洋などにため込む技術。CCS は Carbon dioxide Capture and Storage の略。
  2007年,気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 4 次報告書(AR4)の温暖化予測では,1970〜2004年の間に温室効果ガス排出量は70%増加,温室効果ガスの大半を占める二酸化炭素排出量は80%増加し,2100年には世界平均気温が1.8〜4.0度上昇すると予測している。
  CCS は CO2 の早期大規模排出削減が可能な地球温暖化対策の一つで,IPCC の将来予測シナリオでも,CCS の果たす役割は大きい。技術的には大きく分離・回収,輸送,圧入・貯留の 3 段階の技術からなり,それぞれ既存技術によって実施可能で,規模拡大,効率化,特にエネルギー使用量の削減,統合システムとしての最適化等,更なる技術開発が課題となっている。
  日本の貯留可能量は(財)地球環境産業技術研究機構(RITE)によれば,陸域・海域(海底下)合わせて1,500億トンとされ,大半が海域にある。2006年にロンドン条約96議定書が改定され,CO2 の海底下地中貯留が国際法上可能となり,2007年には,日本においても海洋汚染防止法が改正・施行されたが,同法の実適用には,尚検討すべき点も残されている。
  2008年 3 月,日本政府は「Cool Earth―エネルギー革新技術計画」の中で,世界全体の温室効果ガス排出量を2050年までに半減する目標を国際的に共有することを提案し,日本の目標として60〜80%削減とし,CCS 技術開発を重要な位置づけとした。7 月の G8 北海道洞爺湖サミットでは,「2010年までに世界的に20の大規模な CCS の実証プロジェクトが開始されることを,強く支持する」と宣言された。サミット後には「低炭素社会づくり行動計画」が閣議決定され,2009年度以降,早期に CCS 大規模実証試験に着手し,2015年までに CO2 地中貯留実施に必要な基盤技術を確立し,2020年から民間部門での本格導入の実現を目指すとしている。

参 考 文 献

経済産業省ホームページ
   http://www.meti.go.jp/press/20090807003/20090807003.html



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