ナウファス

 ナウファス(全国港湾海洋波浪情報網:NOWPHAS: Nationwide Ocean Wave information network for Ports and HArbourS)は,国土交通省港湾局,各地方整備局,北海道開発局,沖縄総合事務局,国土技術政策総合研究所および独立行政法人港湾空港技術研究所の相互協力のもとに構築・運営されている我が国沿岸の波浪情報網である。1970年より波浪の定常観測を開始し,2010年 3 月現在,海象計に代表される海底設置式波浪計で61地点,約20 km 沖合の大水深域での波浪観測を目的とした GPS 波浪計で11地点の計72地点において,波浪の定常観測を実施している(図―1,写真―1参照。いずれも国土交通省港湾局より提供)。全国沿岸で観測された波浪データは,検潮所の潮位データと共に集中処理・解析され,その結果はリアルタイム・ナウファス(http://nowphas.mlit.go.jp/)として,ウェブ上に公開されるとともに,毎年,全国港湾波浪観測年報という形で刊行されている。ナウファスによるリアルタイム観測データは,荷役や海上工事の安全性の確保,台風接近時の防災体制に役立っている。また,事後解析において吟味された波浪諸元は,各港の港湾計画の策定(例えば荷役稼働率の算定),静穏な時期を選んだ安全かつ効率的な海上工事の施工計画の作成,港湾施設の設計波浪の算定,災害をもたらした波浪現象の究明において,不可欠な情報となっている。さらに近年では,気候変動に伴う波浪の長期トレンドの解析という観点からも期待を集めるようになっている。

参 考 文 献

1)河合弘泰;佐藤 真;川口浩二;関 克己.全国港湾海洋波浪観測年報 (NOWPHAS2009),港湾空港技術研究所資料,No. 1226, 2011.
   

2)永井紀彦;清水勝義;佐々木誠.太平洋北東岸 GPS 波浪計観測網が捉えた大水深 域における海象特性,港湾空港技術研究所報告,Vol. 47, No. 2, 2008.
   



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